[2009-01-29]メールマガジン第21号


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月刊ディペンダビリティ&テスト(D&T)ニュース  2009年1月29日号
(名称を変更しました)
発信元 シリコン・テスト・テクノロジーズ株式会社
http://www.silicontest.jp/
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テスト技術略語・ミニ解説集 http://www.silicontest.jp/abbreviations
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--- 目次 -----------------------------------------------------------
●【ビジネスニュース】ケイデンス社長
●【最新技術動向】PRDC,ASP-DAC,EDSFair
●【チュートリアル連載記事】DFT技術講座(第14回)岩崎一彦
●【経済指標】SEAJ BBレシオ
●【編集後記】


---【ビジネスニュース】ケイデンス社長 ------------------------------
http://www.cadence.co.jp/news/h20-1-9.html

2009年1月8日(米国時間),ケイデンス社は新社長にリップ・ブー・タン
(Lip-Bu Tan)氏が就任すると発表した.2008年10月15日に前社長と4人の
取締役が辞任したことを受けて人選が進められていた.経営の安定と今後の
発展が期待される.


---【最新技術動向】PRDC --------------------------------------------
http://140.118.155.61/PRDC08/

2008年12月15日(月)から17日(水)まで,国際会議PRDC 2008 (14th 
Pacific Rim International Symposium on Dependable Computing)が開催さ
れた.開催地は台北市内に位置する台湾科技大学である.

PRDCは,高信頼コンピュータシステムに関する会議で,アジア,オセアニア,
アメリカ(主に西海岸)という環太平洋地域で毎年開催されている.今回は,
101編の論文投稿があり,43編がレギュラー論文(8ページ),6編がポスター
論文(論文2ページ,ポスター発表)として採択された.

また,三日間毎朝,招待講演が行われた.15日は,フランスLAAS研究所の
Jean Arlatによる,フォールトインジェクションからディペンダビリティベ
ンチマーキングにいたる,信頼性の実践的評価に関する講演があった.これ
らの技術は,情報システム中に故障を注入したり,仕様に外れた入力を与え
るなどして,人為的に異常な環境を作りだし,その際のシステムの実際の動
作を観測することで,信頼性を評価するものである.講演はこの分野の見通
しの良いサーベイを与えるものであった.16日は,BoeingのBob Yehにより,
航空機における高信頼設計の実際について説明があった.17日は,東京工業
大の寺野隆雄教授より,信頼性とは直接の関係はないが,中国の科挙試験の
データ分析に関する興味深い講演があった.

技術セッションでは,ハードウェアからシステム,ソフトウェア,ネットワ
ークまで様々な話題が聞かれた.具体的なテーマも多岐に渡る一方,最近の
トレンドを追った研究はかなり少なかった.産業界のニーズを反映した研究
も多くはなかったが,そのうちの一つCarnegie Mellon大のJennifer Black,
Philip Koopmanによる発表は,自動車産業からの問題提起を背景に,多数の
モジュールを組み合わせて作成されるシステムに対して,FTAやFMEAに代わ
る安全性解析手法を提案しており,大変興味深いものであった.

参加者は,正確ではないが100人を超えていたように思われる.また,場所
が近いこともあってか,日本からの参加者もかなり多かった.

PRDC 2009は,2009年11月16日から18日にかけて上海にて開催される.
http://prdc09.shu.edu.cn/

また,PRDC 2010は日本で開催される予定である.
(大阪大学 土屋達弘)


---【最新技術動向】ASP-DAC -----------------------------------------
第14回アジア南太平洋設計自動化会議 (Asia and South Pacific Design 
Automation Conference, ASP-DAC 2009)が,1月19日(月)から22日(木)
までパシフィコ横浜で開催された.
http://www.aspdac.com/

会議全体では,355件の投稿が33ヶ国/地域からあり,116件の技術論文が採
択された,
一般発表は24セッションで,基調講演,ユニバーシティ・デザイン・コンテ
スト,デザイナーズ・フォーラム/パネル,特別セッションを含めると全体
で36セッション,4パラレルで3日間にわたって行われた,これとは別に,初
日には7件のチュートリアルが行われた,
テスト分野に関しては以下の2つのセッションで9件の論文発表があった.

・Scan Test Generation (7C)
・Verification, Test, and Yield (8C)

テスト分野で採択された論文が2セッションに集約されるため,各セッショ
ンで扱うテーマは広く,発表も多岐にわたる,各論文の内容を以下に紹介す
る,
セッション7Cでは,
・遅延故障の過剰テスト緩和,正確なシステムクロック決定のための,レジ
スタ転送レベル設計情報を用いたフォールスパスの高速判定法(奈良先端大)
・拡張スキャン,ランチ・オフ・キャプチャ,ランチ・オフ・シフト技術を
組み合わせ,遷移故障検出率の向上を図るスキャンツリー構成法(精華大,
中国)
・故障の活性化を阻害する入力キューブに着目した,ランダムテスト生成に
おける動的テストコンパクション手法(パデュー大,アイオワ大,米国)
・スキャンセル内の短絡故障の可検査性解析とそのテスト法(アイオワ大,
パデュー大,LSI Corp. 米国)
・省電力設計で用いられるリテンション・フリップフロップの,リテンショ
ン制御(スリープモードとアウェイクモード切替)に関係する故障モデルの
提案とそのテスト法(台湾大,台湾)
が発表された,
(http://www2.infonets.hiroshima-u.ac.jp/aspdac/program/7C.html)

セッション8Cでは,
・Single-Bit First-Order ΔΣ変調器の積分回路のリークを測定するため
のテストと容易化設計法(台湾大,台湾)
・パス上のセルの種類に基づくパスの分類に基づく,タイミング不良を監視
するパスの選択法(カリフォルニア大サンタバーバラ校,LSI Corp.,米国)
・スリープ・トランジスタを用いた漏れ電流制御のよる,バーイン時の温度
安定化のためのテスト容易化設計法(パデュー大,米国)
・テスト時の発熱を抑えるための,発熱解析に基づくコアベースSoCのテス
トアクセス機構設計とテストスケジューリング法(奈良先端大)
が発表された,
(http://www2.infonets.hiroshima-u.ac.jp/aspdac/program/8C.html)

次回,第15回のASP-DACは2010年1月18日から21日の日程で台北で開催される
予定である,
(奈良先端大 大竹 哲史)


---【最新技術動向】EDS Fair ----------------------------------------
http://www.edsfair.com/
2009年1月22日(木)および同23日(金)にパシフィコ横浜にてEDSFairが開
催された.VLSIの設計,テスト等に関して国内外の143社から展示がおこな
われた.

ユニバーシティ・プラザには12大学1高専から計22件の展示がおこなわれた.

厳しい経済情勢の下,参加者数は9,117名(初日5,164名,2日目3,953名)で
あった.昨年の参加者数は10,431名(初日5,827名,2日目4,604名)だった
ので,やや閑散とした展示会であった.来年は元気一杯であることを期待し
ている
(岩崎一彦)


---【チュートリアル連載記事】 --------------------------------------
■  DFT技術講座(第14回)  ■

前回の記事が昨年の9月だったので,かなり間が空いてしまった.反省して
いる.

VLSIテストの目的は回路に故障があるかどうかを判断することであるが,な
かには故障が存在しても検出するテストパターンが存在しない場合がある.
このような故障は冗長故障(Redundant Fault)と呼ばれる.今回はこの冗
長故障について説明する.

次の図1で示される論理回路を考える.2段のAND-OR回路であり,この回路が
実現する関数とそのカルノー図および真理値表も同時に示してある.
http://www.silicontest.jp/mailmagazine/090129/fig2.htm

以下に示すように,ゲートG2の出力(×印の箇所)に0縮退故障(sa-0)が
生じたとする.
http://www.silicontest.jp/mailmagazine/090129/fig3.htm

見かけは異なるが,故障回路が実現する論理関数は図1の論理関数と同一で
ある.すなわち,同一の真理値表を与える.言い換えると,この故障回路は
可能な入力(0, 0, 0)から(1, 1, 1)のすべてに対して故障のない回路と同一
の出力を与える.さらに見方を変えると,この0縮退故障を検出するテスト
パターンは存在しない.そもそもゲートG2が冗長な部分であったと言える.

図1で示される回路と図2で示される回路は,完全に同じ動作をするかという
と,若干の違いがある.入力(A, B, C)が(1, 1, 1) → (1, 0, 1)に変化し
た場合を考える.図1の回路では出力fは1で安定している.

一方,図2の回路ではゲートの遅延に依存して,瞬間的にローレベルのハザ
ードが生じる可能性がある.すなわち,入力の変化(A, B, C):(1, 1, 1) 
→ (1, 0, 1)に応じて,ゲートG1の出力は1→0へ,ゲートG2の出力は0→1へ
変化する.ゲートG1の立下りが早くゲートG2の立上りが遅い場合,出力fが1
→0→1と変化する.

かつて,真空管で論理回路を設計していた時代には,このハザードを防止す
る目的でここに示すような冗長設計がおこなわれていた,という昔話を某村
の古老F氏から聞いたことがある.

一般にある故障が冗長故障であること,すなわち故障検出のためのテストパ
ターンが存在しないことを示すことは極めて困難である.ある故障が冗長故
障であることが判明した場合,再設計(再論理合成)することも考えられる
が副作用が懸念される.分母と分子から当該故障を除外して故障カバレージ
を求めることが現実的である.
(岩崎一彦)


---【経済指標】-----------------------------------------------------
SEAJ BBレシオ 12月度 0.70
半導体製造装置協会から転載:http://www.seaj.or.jp/
月次経過:http://www.silicontest.jp/mailmagazine/090129/fig1.htm


編集後記 -----------------------------------------------------------
本年もどうぞよろしくお願い致します.

大晦日にインフルエンザらしい風邪を引いてしまい,安上がりな正月を過ご
すことができました.高熱で頭がぼうっとして,バーンイン中のチップの気
持ちが判りました.皆様もお体にはお気を付け下さい.
(新井雅之)

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