[2009-04-28]メールマガジン第24号


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月刊ディペンダビリティ&テスト(D&T)ニュース  2009年4月28日号
発信元 シリコン・テスト・テクノロジーズ株式会社
http://www.silicontest.jp/
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テスト技術略語・ミニ解説集 http://www.silicontest.jp/abbreviations
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--- 目次 -----------------------------------------------------------
●【ビジネスニュース】半導体製造装置ランキング
●【最新技術動向】ITSW,DC研究会
●【チュートリアル連載記事】ディペンダビリティ講座(第3回)福本聡
●【チュートリアル連載記事】故障解析講座(第15回)佐藤康夫
●【経済指標】SEAJ BBレシオ
●【編集後記】


---【ビジネスニュース】半導体製造装置ランキング --------------------
半導体産業新聞 第1837号 2008年4月22日発行

VLSIリサーチ社による08年半導体製造装置ランキングが掲載された.全体で
前年度比25%減となり,ランキング参入企業は軒並み2ケタのマイナス成長
であった.上位15社は下記の通りである.

1位(前年1位)Applied Materials
2位(前年3位)ASML
3位(前年2位)Tokyo Electron
4位(前年4位)KLA-Tencor
5位(前年5位)Lam Research
6位(前年6位)Nikon
7位(前年11位)Canon
8位(前年9位)Hitachi High Technologies
9位(前年10位)Dainippon Screen Mfg.
10位(前年8位)Novellus Systems
11位(前年12位)ASM International
12位(前年14位)Teradyne
13位(前年7位)Advantest
14位(前年13位)Varian Semiconductor Equipment
15位(前年15位)Verigy

詳しくは同新聞を参照されたい.ホームページは以下の通りである.
http://www.semicon-news.co.jp/

参考までに,08年半導体メーカランキングは以下から参照できる.
アイサプライ社:http://www.isuppli.co.jp/pdf/IS06-PR116J11Mar.pdf

因みに下記の通りである.
2.7%(ルネサス)+2.3%(NECエレクトロニクス)=5.0%(3位)


---【最新技術動向】ITSW --------------------------------------------
3月23日から25日まで,International Test Synthesis Workshop 
(ITSW2009)がテキサス大オースティン校で開催された.このワークショップ
は1983年に始まったそうで,四半世紀の歴史を持ち,今回はその16回目とな
る.参加者は約40名で,基調講演2件,チュートリアル2件,パネル1件を含
め27件の発表があった.本ワークショップでは予稿集は発行されないが,基
調講演を含めた一部のプレゼンテーション資料がHPに掲載される予定がある
と聞いている.

http://www.tttc-itsw.org/

初日の基調講演はT.Cheng 教授(UCSB)の"Test's Changing Role in the 
Late-Silicon Era"と題した講演で,今後考えなければならないテスト技術
として以下が強調されていた.

・新しい領域のテスト技術として,ディジタル技術によるアナログ回路特性
補正,マルチコア回路の修復技術,フレキシブルエレクトロニクス向けのテ
スト技術など.

・既存のテスト技術の発展として,システム全体のvalidationとadaptaion,
アプリケーションやシステム機能を考慮したテスト技術,DFXリソースの
validation,viability,realibiltyとの共用化など.

続く2日目のAnne Gattiker氏(IBM)の基調講演"Getting More Out of Test: 
Addressing Variability and DFM"や,パネル討論"Move Over Time Zero 
Test, On-line is Here to Stay"では,Cheng教授が挙げたテスト技術につ
いて,その必要性が再確認された形となった.

一般論文としては,テスト容易化,BIST,遅延テスト,テスト生成,テスト
圧縮,故障シミュレーション,高信頼化など,広い範囲におよぶ発表が行わ
れた.

このワークショップでは,参加者の採点により毎回最優秀学生論文賞が選ば
れているようだが,今回は以下の2件が受賞した.

・Rudrajit Datta (UT-Austin), "Improving Memory ECC by Exploiting 
Unused Spare Columns"
・Kanupriya Gulati (Texas A&M), "Fault Table Generation Using 
Graphics Processing Units"

(奈良先端大 大竹 哲史)


---【最新技術動向】DC研究会 ----------------------------------------

http://www.ieice.org/iss/dc/jpn/

2009年4月21日,秋葉原の首都大サテライトキャンパス(ダイビル内)にお
いて,電子情報通信学会ディペンダブルコンピューティング研究会が開催さ
れた.招待講演を含め9件の発表があり,約40名の参加者による活発な討論
が行われた.

例年4月の研究会は同コンピュータシステム研究会との共催であり,本年も
高信頼プロセッサ,モデル検査,セキュリティソフトウェア開発環境,ソフ
トエラー率評価,テスト応答圧縮回路の設計法など,多岐に渡るテーマにつ
いての発表が行われた.また,招待講演として,NTTコミュニケーションズ
の須藤年章氏によるボットネットに関する発表があった.ハニーポットを利
用した解析システムから得られた結果に基づき,実際に稼働しているボット
ネットのシステム構成や,セキュリティ対策から逃れてサービスを継続する
ための仕組みの進化などについて紹介された.

 (新井雅之)


---【チュートリアル連載記事】 --------------------------------------
■ ディペンダビリティ講座(第3回) ■

前回の終わりに述べたように,故障率が時間の経過にかかわらず一定なら,
アイテムの寿命をあらわす確率分布は簡単な幾何分布となります.今回は,
この幾何分布を例にして,最も基本的で重要な信頼性評価尺度について解説
します.

故障率を p とすれば,幾何分布の累積分布関数 F(k),すなわち時刻 k ま
でに故障が発生している確率をあらわす関数は,時刻 i に故障が発生する
確率を f(i) = p * (1 - p)^(i-1) として

 F(k) = f(1) + f(2) + ... + f(k) = 1 - (1 - p)^k

となります.これに対して,時刻 k まで故障が発生していない確率 R(k) 
を信頼度(reliability)と呼びます.信頼度は累積分布関数の余確率であら
わされ,幾何分布の場合は

 R(k) = 1 - F(k) = (1 - p)^k

となります.これは,アイテムが故障せずに機能を維持し続ける確率が,時
間の経過とともに減少していく状況を記述する評価尺度です.例えば,故障
率が p = 0.9 のとき,信頼度 R(k) は以下のようになります.
http://www.silicontest.jp/mailmagazine/090428/reliability.htm

ただし,時刻 0 における信頼度 R(0) を,その意味から 1.0 と定義してい
ます.

さて,累積分布関数や信頼度は,寿命に関する特性を時間の関数として表現
していますが,もっと簡潔に一つの数値で表す評価尺度があります.それは,
故障が発生するまでの平均時間,通称"MTTF(mean time to failure)"と呼ば
れる量です.故障が発生するまでの時間の平均ですから,

 MTTF = f(1) + 2*f(2) + 3*f(3) + 4*f(4) + ...

と,その定義から算出されますが,

 f(1) + 2*f(2) + 3*f(3) + 4*f(4) + ...
= f(1) + f(2) + f(3) + f(4) + ...
+ f(2) + f(3) + f(4) + ...
+ f(3) + f(4) + ...
+ f(4) + ...
+ ...
= 1 - F(0)
+ 1 - F(1)
+ 1 - F(2)
+ 1 - F(3)
+ ...

と変形すればわかるように,上記の信頼度をもちいて MTTF = R(0) + R(1) 
+ R(2) + R(3) + ...としても得られます.幾何分布の場合はすでに述べた
ように MTTF = 1/p となります.言い換えれば p = 1/MTTF です.このこと
から信頼度 R(k) は R(k) = (1 - 1/MTTF)^kとも書けます.

例えば,時刻 k = MTTF のときの信頼度を求めてみましょう.もし MTTF = 
10だとすると

 R(10) = (1 - 1/10)^10 = 0.348

となります.またMTTF = 100 だとすると

 R(100) = (1 - 1/100)^100 = 0.366

です.MTTF がそれ以上の場合も,およそ信頼度は 0.367 程度であることが
確かめられます.アイテムの寿命の平均時刻においては,意外にも機能を維
持できている確率が低いことがわかります.

はなしは逸れますが,人間の寿命の場合,前々回で述べたとおり幼年期や老
年期などを考慮すると故障率は常に一定とは言えないため,寿命分布は幾何
分布とは少し異なります.しかし,平均的な議論としては上記とほぼ同様と
考えてよいでしょう.すると,われわれが日ごろ"日本人の平均寿命は 80歳
を超えているらしいから,自分も 80 歳ぐらいまでは生きられるはず"など
と漠然と考えたりするのは,残念ながら楽観的過ぎると言わざるを得ません.
上記の信頼度によれば,実際に 80 歳まで生きるのは3人に1人ぐらいしかい
ない訳ですから.

<以下,次回に続く>

(福本 聡)


---【チュートリアル連載記事】 --------------------------------------
■  故障解析技術講座(第15回)  ■

故障診断について長らく話してきた.私ことで恐縮だが,最近30数年勤めた
会社を退社し,新しい職について立ち上がりでいろいろ忙しく,稿が途絶え
がちだったことをお詫びする.

さて,故障解析において解析装置の発展は目覚ましいものがあるが,多くは
微視的な分解能の向上であった.テスタ測定情報を利用して故障個所をマク
ロに絞り込む故障診断は,いわば故障解析において,解析装置技術と車の両
輪と言える.これまで故障診断の方式,故障モデルなどについて説明してき
た.特に強調してきたのは,故障診断の精度と分解向上の手法であった.そ
れらは市場や生産工程における重要な故障品の解析を成功させるために欠か
せない技術である.最後に,最近の故障診断のもう一つの目的である歩留り
向上について紹介したい.

歩留り向上目的の故障診断は大量故障診断(Volume Diagnosis)と呼ばれる
ことが多い.文字通り,大量のチップを故障診断し,故障の要因分析に役立
てようという狙いである.例えば,生産工程におけるウェハテストでフェー
ルした数百個,あるいは数千個のチップに対して,故障診断を行う.このと
きに必要な故障診断の要件は,
(1) 大量のチップを高速に処理可能なこと.
(2) 故障診断の想定要因を分類可能なこと(Pallet分析).
である.故障診断の結果,特に大きな比率を示す要因に対して,更に解析装
置による解析を行って,その物理原因を追及する.それぞれについて詳しく
述べよう.

最初の高速な処理であるが,以下のような様々なアプローチがなされている.

(1) 安価なマシンを多数用意し,各チップを並列分散処理させる.これ自体
は技術的にはそんなに難しいものではないと思われるが,処理の分散や結果
の統合を自動的に行える事が重要である.

(2) 処理を要因分類に必要な範囲に限定し,詳細な分析は分類後に必要な時
だけに行う.例えば,これまで説明してきたようなレイアウト/回路情報を
駆使したような手法は,ここでは行わない.

次に想定要因の分類については,以下のようなアプローチがなされている.

(1) 統計的に発生頻度の高い故障個所を求める.例えば,通常の故障診断で
はネット単位に故障候補を指摘するが,大量故障診断で行われるような処理
では,通常多数の候補が指摘される.一個のチップで結果を観測すると,数
が多く情報は少ないが,これを多数のチップで統計的に見た場合,特定のネ
ットや特定のセル,あるいは特定の領域が高い頻度で出現する場合がある.

(2) 故障の原因として製造プロセスにおける異物原因が考えられる.異物の
発生状況は要所の製造工程でチップ上のどこに異物があるかモニタされてい
ることが多い.異物の発生個所と故障診断での指摘箇所がよく一致する場合
は,異物原因の可能性が高い.こうした個所は指摘から除外すると,それ以
外の構造的な原因による故障が発見し易くなる.

(3) ある原因による故障の発生頻度が高いか,通常のバラツキの範囲かは判
断が難しい.例えばあるセルに関わる故障が多いように見えても,そのセル
の使用頻度や面積に依存するからである.歩留まりが下がったロット(複数
のウェハが纏めて製造処理される単位)とそうでないロットで発生頻度の相
関を調べる等の統計処理も用いられる.

このように大量故障診断は,うまく解析出来れば歩留り向上に用いられるの
で効果が大きいが,技術的に難しい面も多い.より進んだ研究が望まれるが,
製造の実データを見ながらの分析が欠かせないので,企業の機密が関わり,
研究がうまく促進されない一因になっていると思われる.

 故障診断について長らく紹介してきたが,そろそろ一通り眺めたようであ
る.次回は私の故障診断に関する夢を語って稿を閉じたい.

(佐藤康夫)


---【経済指標】-----------------------------------------------------
SEAJ BBレシオ 3月度:0.3
半導体製造装置協会から転載:http://www.seaj.or.jp/
月次経過:http://www.silicontest.jp/mailmagazine/090428/fig1.htm


編集後記 -----------------------------------------------------------
豚インフルエンザが流行の兆しを見せています.来週から参加予定のVLSI 
Test Symposiumの開催地がサンディエゴ(メキシコ国境,昨年開催)でなく
てまだ良かったと思いますが,安心はできません.皆様も十分ご注意下さい.
(新井雅之)

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