[2009-10-30] D&Tニュース 第30号

			
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
月刊ディペンダビリティ&テスト(D&T)ニュース  2009年10月30日号
発信元 シリコン・テスト・テクノロジーズ株式会社
http://www.silicontest.jp/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
テスト技術略語・ミニ解説集 http://www.silicontest.jp/abbreviations
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

--- 目次 -----------------------------------------------------------
●【ビジネスニュース】西村日銀副総裁
●【最新技術動向】CEATEC,DC研究会
●【図書紹介】SiP技術のすべて
●【チュートリアル連載記事】ディペンダビリティ講座(第7回)福本聡
●【編集後記】


---【ビジネスニュース】西村日銀副総裁-------------------------------

2009年10月21日,兵庫県金融経済懇談会において,西村清彦日本銀行副総裁
がおこなった挨拶が掲載されている.概要は以下の通りである.世界経済は
新興国から景気が持ち直し,それが先進国に波及して緩やかな成長に収束す
る.また,我が国の景気は持ち直しつつある.中長期的課題として次の2点
を挙げている.(1) 新興国需要をどのように取り込むか,(2) 高齢者が必要
とする技術を如何に先取りするか.詳しくは下記を参照されたい.

http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0910b.htm


---【最新技術動向】CEATEC ------------------------------------------
http://www.ceatec.com/

2009年10月6日(火)から同10日(土)まで,幕張メッセでCEATEC(最先端
IT・エレクトロニクス総合展)が開催された.出展社/団体数は590,来
場者数は約15万人であった.参考までに,2008年の出展社/団体数は804,
来場者数は約19万7千人であった.イベント3日目(10月8日)には,台風18
号が本州に上陸した影響もあり,来場者数については若干割り増す必要があ
るだろう.

既に,多くの報道がなされているので繰り返すことは控えたいが,“グリー
ンIT”,“3次元テレビ”が注目を集めていた.各社の3Dシアターには長蛇
の列ができており,つられてP社とS社の列に加わった.モトクロスのバイク
やゴルフのターフがこちらに飛んでくる場面では思わずのけぞるような迫力
があった.

テスト技術関係では,沖エンジニアリング,浜松ホトニクス,日本ナショナ
ルインスツルメンツ等から出展があった.太陽誘電からはメモリベースの半
導体デバイスのチップ展示があり,熱心な説明がおこなわれていた.

(岩崎一彦)


---【最新技術動向】DC研究会 ----------------------------------------

2009年10月20日に,東京都港区の機械振興会館において,電子情報通信学会
ディペンダブルコンピューティング研究会が開催された.今回のテーマはネ
ットワーク環境でのディペンダビリティであり,符号化に基づく圧縮データ
やSSDの誤り訂正,グリッドシステムのスケジューリング,コンセンサスア
ルゴリズム,分散システムにおけるデータ複製などに関して計6件のレギュ
ラー発表があった.

午後には,2件の招待講演があった.1件目は,"見える障害を見えなくする・
見えない障害を見えるようにする"と題した慶應大の河野健二准教授による
講演である.ウェブサービスの基盤となるインターネットサーバの信頼性向
上技術として,"見える障害を見えなくする"技術(障害時の再起動の高速化)
,および"見えない障害を見えるようにする"技術(管理図を用いたソフトウ
ェアのデバッグ)について紹介があった.

2件目の招待講演は,国立情報学研究所の阿部俊二准教授による"SINET3の高
信頼アーキテクチャ".全国の大学・研究機関の学術情報基盤ネットワーク
として現在運用されているSINET3および次期ネットワークSINET4に関して,
そのアーキテクチャ,サービス,および信頼性向上の取り組みについて紹介
された.
(新井雅之)


---【図書紹介】SiP -------------------------------------------------

編著者:赤沢隆(計7名による分担執筆)
書名:SiP技術のすべて
出版社:工業調査会

第1章 SiPとは何か
第2章 電子機器の動向
第3章 SoCかSiPか
第4章 SiP開発動向
第5章 SiP設計技術
第6章 SiP構造設計
第7章 SiP実装技術
第8章 SiPテスト技術
第9章 将来のSiP
計244ページ

SiP(System in Package)技術全般について詳しく解説されている.すなわ
ち,カバーする範囲は,SiPの半導体における位置付け,材料,組立て,設
計,テスト等々である.特に,第3章第3項目”SiPに必要な技術”では,最
重要技術としてテスト手法が挙げられている.当該部分である第8章の記述
は計7ページ分であるが,本書の改訂版では充実するものと期待している.

アマゾンでの購入(1500円以上送料無料)は下記を参照されたい.
http://www.silicontest.jp/

(岩崎一彦)


---【チュートリアル連載記事】 --------------------------------------
■  ディペンダビリティ講座(第7回)  ■

本講座は,前回から符号による高信頼化技術の話題に入っています.今回は,
具体的な符号の例を紹介します.

すでに述べたように,符号には誤りの検出だけを目的とするものと,検出お
よび訂正を目的とするものとがあります.まずは,誤り検出だけを目的とす
る符号について述べます.誤りが検出されれば,処理のやり直しなどの何ら
かの対策をシステムとして取ることができます.また一般に,誤り検出に特
化した符号は,誤り訂正を目的とする符号より簡単で効率が良いことが知ら
れています.

符号語を構成するコストの観点からいって,最も簡単な誤り検出符号は,パ
リティ検査符号です.その符号語は,もとの情報系列にわずか1ビットの検
査ビットを付加するだけで構成されます.検査ビットは情報系列に含まれる
1の数に応じて決まります.例えば,情報系列が 0101 のとき1の数は2個で
す.もし符号語全体として1の数が偶数になるよう検査ビットを付加すると,
この情報系列に対する符号語は 01010 となります.このルールにもとづく
パリティ検査符号は偶数パリティと呼ばれます.パリティ検査符号の符号語
では奇数個のビット誤りを検出できます.もし 01010 の先頭から3ビット目
に誤りが生じて01110となったとき,1 の総数が奇数になっていることから
誤りの発生が判ります.この符号では,符号化は検査ビットの生成を,また
復号化は誤り発生の検査を意味し,何れも情報ビット系列すべての排他的論
理和をとるだけで実現されます.

パリティ検査符号には,もう一つの方式,すなわち符号語に含まれる 1 の
総数が奇数になるように検査ビットを付加する方式があります.これは奇数
パリティと呼ばれます.1 の総数が偶数か奇数かの違いはあっても,奇数個
のビット誤りの発生を検出できる点は同じです.数学的には,両方のパリテ
ィはまったく同じ機能を持っているのですが,コンピュータシステムでは奇
数パリティの方が若干誤り検出に有利であるとされています.それは実際の
誤りの発生結果によれば,00000 のようにすべてのビットが 0 になるよう
な誤りパターンがその他の誤りパターンよりも多く見られ,同じくすべての
ビットが 0 の符号語を持つ偶数パリティは誤り検出の点で好ましくないと
考えられるためです.つまり,奇数パリティのすべての符号語には少なくと
もひとつは 1 が含まれているため,そのような誤りパターンを見逃す心配
がないということです.このあたりの事情をもう少し踏み込んで考えてみま
しょう.

符号理論では,通信路や電子回路での誤り発生の振舞いを抽象化して,故障
モデルや誤りモデルといった用語で表します.0 と 1 の2元からなるデジタ
ル信号では,誤りは, 0 が 1 に変移する誤りと 1 が 0 に変移する誤りに
モデル化されます.ここでは,前者を0→1誤り,後者を1→0誤りと表すこと
にします.パリティ検査符号は,0→1誤りと1→0誤りがランダムに発生する
ことを前提に奇数個の誤りを検出する符号です.しかし,コンピュータを構
成する論理回路やメモリでは,情報の基本単位である1ワードを構成するビ
ット系列に発生する誤りは0→1誤りか1→0誤りのどちらか一方だけであるこ
とが多いといわれています.このような誤りのモデルを単方向誤り
(Unidirectional Error)と呼びます.以下に,この単方向誤りを効果的に検
出するための符号のひとつであるバーガ符号(Berger Code)を紹介します.

バーガ符号の符号語は,もとの k ビットの情報系列に含まれる 1 の数を
log_2 (k+1) 桁の2進数で表した値に対する1の補数をとって検査ビットに
することで構成されます.例えば,情報系列が 101 ならば,これに含まれ
る1 の数は 2 です.これは log_2 (3+1) = 2 桁の2進数では 10 であり,
それに対する1の補数は 01 です.これらから,101に対する符号語は 
10101 となります.k ビットの情報系列に対するバーガ符号は n = k + 
log_2 (k+1) の符号長を持つことになります.k = 3 の場合のバーガ符号の
すべての符号語を以下に示します.

00011, 00110, 01010, 01101, 10010, 10101, 11001, 11100

これらの符号語では,どのようなパターンの単方向誤りが発生しても,決し
て自分以外の他の符号語に変移することはありません.例えば 00011 とい
う符号語に 0→1誤りだけからなる単方向誤りが発生したとすると,符号語
系列00011 は 10011, 01011, 00111, 11011, 10111, 01111, 11111 の何れ
かに変移することになりますが,これらはどれも符号語ではありません.し
たがって,誤りが発生したことは必ず検出されます.

<以下,次回に続く>

(福本 聡)


---【経済指標】-----------------------------------------------------
SEAJ BBレシオ 9月度:1.28
半導体製造装置協会から転載:http://www.seaj.or.jp/
月次経過:http://www.silicontest.jp/bbratio.htm


編集後記 -----------------------------------------------------------
CEATECの会場でのことです.若い女性から,新人研修の一環としてできるだ
け多くの方と名刺交換をしているので協力してほしい,と言われ求めに応じ
ました.ところが,後日,ワンルームマンションの購入を勧誘する電話がか
かってきました.皆様もお気を付け下さい.
(岩崎一彦)

◇◆当サービスのご利用に当たって◆◇--------------------------------
★このメールは送信専用メール・アドレスから配信されています.
◇このままご返信いただいてもお答えできませんので下記にご連絡下さい.
★メールマガジン申込:subscribe@silicontest.jp
★メールマガジン停止:unsubscribe@silicontest.jp
★メールマガジン送付先変更:changeaddress@silicontest.jp
★メールマガジン全般:editor@silicontest.jp
--------------------------------------------------------------------
Copyright(C) Silicon Test Technologies社,2007
掲載記事の無断転載を禁じます.
お知り合いの方への転送・紹介は自由です

			
会社概要-ACCESS-ご意見・ご要望