[2009-12-25] D&Tニュース 第32号


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月刊ディペンダビリティ&テスト(D&T)ニュース  2009年12月25日号
発信元 シリコン・テスト・テクノロジーズ株式会社
http://www.silicontest.jp/
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テスト技術略語・ミニ解説集 http://www.silicontest.jp/abbreviations
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--- 目次 -----------------------------------------------------------
●【ビジネスニュース】半導体ランキング
●【最新技術動向】ATS,WRTLT,セミコンジャパン,DC,D2T
●【編集後記】


---【ビジネスニュース】半導体ランキング-----------------------------
半導体産業新聞 第1867号 2009年12月9日発行

アイサプライ社による2009年世界半導体マーケットシェア・ランキング(暫
定速報値)が掲載された.上位10社および日本の会社は以下の通りである.
()内は2008年の順位である.

第1(1)位:Intel
第2(2)位:Samsung Electronics
第3(3)位:Toshiba
第4(4)位:Texas Instruments
第5(5)位:STMicroelectronics
第6(8)位:Qualcomm
第7(9)位:Hynix
第8(6)位:Renesas Technology
第9(12)位:AMD
第10(7)位:Sony
第11(11)位:NEC Electronics
第16(19)位:Elpida Memory
第18(15)位:Panasonic Corporation
第20(18)位:Sharp Electronics

詳しくは同新聞を参照されたい.ホームページは以下の通りである.
http://www.semicon-news.co.jp/
アイサプライ社:http://www.isuppli.co.jp/


---【最新技術動向】ATS ---------------------------------------------
http://ats09.nchu.edu.tw/

2009年のATS(Asian Test Symposium)は,11月24日から11月26日まで,台
湾の台中市で開催された.今年で18回目の開催となる.昨今の半導体業界の
業績悪化が原因と思われるが,さすがに企業からの参加者は少なかったよう
に思える.それでも米国の一部のEDAベンダなど,定期的に論文投稿を行っ
ている企業から一定の参加者が見受けられた.

今回のATSには,16の国と地域から,合計100件の論文が投稿された.内訳は,
北・南アメリカから26件,ヨーロッパから14件,台湾から26件,日本から7
件,中国から10件,インドから14件,その他3件である.台湾開催というこ
とを考慮しても,台湾からの投稿件数が非常に多い割合を占めた.100件の
うち,60件がレギュラーペーパーとして,8件がショートペーパーとして採
択された.セッションの構成は,基調講演が4件,パネルが2セッション,イ
ンダストリアルセッションが1セッション,テクニカルセッションが18セッ
ションであった.

4件の基調講演では,全て3Gチップへの対応が急務であるとのメッセージが
込められていた.4件目はIMEC社のErik Jan Marinissen氏が講演し,3Gチッ
プ自体は新しくないが,消費電力と製造コストを削減しながらバンド幅の増
加および性能向上を可能にするTSV(Though-Silicon Vias)技術は新しいも
のであり,テストのおける問題点も多いと述べている.また,基調講演では,
近年重要視されているパワーに関する話題も含まれていた.1つ目のパネル
セッションでもパワーを考慮したテストに関する話題が議論され,低パワー
テスト(Low-Power Testing)と題されたセッションが1つ,さらにテスト
生成に関するセッションの中でもパワー削減に関する発表があり,今なおそ
の重要性が伺える.

テクニカルセッションは,18セッションで,LSIテストに関する話題を広く
カバーしていた.その中で,テスト生成(Test Generation)は,3日間で1
日1セッションずつ,計3セッション行われた.ほとんどの発表が故障検出に
加えてその他の問題を解決するようなテスト生成手法であった(Threshold 
Test,欠陥の診断,低パワー,オープン故障検出等).また,SAT技術を用
いたテスト生成手法が2件発表されており,SAT技術を用いる長所や短所を明
らかにした上で,SAT技術によるATPGの高速化手法や,動的圧縮手法への応
用手法が提案された.

(九州工業大学 宮瀬紘平)


---【最新技術動向】WRTLT -------------------------------------------
http://conferences.cse.cuhk.edu.hk/wrtlt09/

第10回WRTLTは,11月27日と28日にThe Chinese University of Hong Kong 
Shatin (中華大学香港シャーチン校とでも訳す?)で開催された.シャーチ
ンは,百万ドルの夜景で有名な九龍湾に面した香港の繁華街を外れ,山手に
電車で半時ばかり行った所にあり,吐露港というひっそりとした入り江に面
している.会場のシャーチン大学は港を見下ろす小高い丘の上にあり,多数
の校舎が緩やかな丘の斜面に這いつくばるように並んでいる.国際会議は中
腹の校舎の一階の奥まった一室で行われた.手狭な部屋に約40-50名の参加
者が熱心に発表と討論を行った.昼には6階のテラスで立食を取った.眼下
に見下ろす美しい入り江の向こうには馬鞍山がそびえている.馬鞍山は文字
通り馬の鞍の形をしているが,日本の山と異なり木々は少ない.12月も間近
というのに海から吹き上げる風は柔らかで心地良かった.

最初の基調講演は米国オースチン大のJacob Abraham教授が行った.標題は,
“System-Level Verification and Test: From Microprocessors to SoCs 
and Multicore Chips”. Abraham教授はアナログテストの大家として著名で
ある.プロセスバリエーションの増大や大規模化,ミックスシグナルやRF回
路のオンチップ化等を背景に,検証やテストの課題と対応を論じた.テスト
については,Intel等が発表している命令セットベースの機能BIST(FRITSと
呼ばれる,ITC2002で発表)やプロパティを用いた検証技法の適用,あるい
はオンチップセンサを用いたミックスシグナルやRF回路のテスト等の紹介が
あった.アナログはスペック確認のテスト,ロジックテストについても機能
的方向性が示された.(余談:昼食時に教授とお話していて初めて知ったの
だが,彼はもともとロッジクテストが専門で,途中からアナログを始めたと
のこと.経験を積み重ねて現在に至ったらしい.私がこれから勉強しても間
に合うかとの質問には,十分との回答!ロジックのテストを専門にしている
日本の研究者や開発者は,どうもアナログを近づき難いもののように見る傾
向が強いが,教授のお話には元気づけられた)

2日目の招待講演は米国からCisco社Technology & Quality Groupのディレク
タであるXinli Gu博士が,同社の品質向上の取り組みについて語った.Gu氏
はCiscoの製品の品質についてワールドワイドで責任を持つ立場にある.
Ciscoのチップには,論理BIST,メモリBIST,アナログBIST,SerDesBISTな
どを入れ込んでいる.チップは,テスト対象のブロック毎にブロックIDを書
き込んで出荷される.これらのインフラを使って,生産テスト,ボードテス
ト,システムデバッグ,およびフィールドテストが実施される.また各ブロ
ックのテスト結果はネットワークを介して集中管理されるとのこと.そのた
めに必要な回路はかなりの量になるが,設計者は必要性を認識しており必ず
チップに埋め込むとのこと.(Cisco社のBISTの仕組みについてはITC等でか
なり論文が出ているが,今回の話のような運用については,筆者の知る限り
発表が見当たらない)

技術もさることながら,このような仕組みを全世界レベルで徹底させるマネ
ージメントが素晴らしい,一体どう運営したのかと質問した.回答は,博士
は現在の地位につくまで長年いろんな現場にいて,問題を解決するためにど
うすればいいかを多くの人と話し合い,実証するなかで理解が得られてきた
とのこと.2000年の初め頃から仕組みが根付いたらしい.まさに,言うは易
し,行うは難し!

技術発表では奈良先端科学技術大学院大学がハイレベルテストの3件の発表
(共著含む)を行い面目躍如であった.
“A DFT Method for Functional Scan at RTL”
“Observation-Point Selection at Register^-Transfer Level to 
Increase Defect Coverage for Functional Test Sequences”
“Path-Based Resource Binding to Reduce Delay Fault Test Cost”
1件目は,通常スキャンテストではスキャンチェーンを通してフリップフロ
ップに値を書き込むが,代わりにユーザの論理パスを通して値を書き込むも
の.オーバヘッド低減を狙う.
2件目は,RTレベルでの機能的なテストの検出能力を高めるために,観測点
を選ぶ.
3件目は,遅延テストではフォルスパスと呼ばれる実際には使われることの
ない論理パスが,ATPGでの認識が難しいが,そのフォルスパスを減らす論理
合成手法を発表した.

WRTLTは,もともと上位設計レベルでのテストを目指して始まったが,最近
では相当広い分野を受け入れている.そういう意味では,これらの発表は本
家と言えよう.他は,低電力テスト,故障シミュレーションとテスト生成,
DFT,故障診断等のテーマで20件近くの発表があった.またポスター展示も
10件あった.

特筆すべきは,中国科学アカデミーのYinhua Min教授が行った“Is the 
Full Scan Design Unshakeable?”と題した発表である.教授は中国のテス
ト研究の草分けである.高齢にもかかわらず毎日アルコール度50%のお酒を
欠かさないという.発表の趣旨は次のとおり.スキャン設計および縮退故障
モデルに基づくテスト技術が始まって半世紀近くになるが,実動作と異なっ
た動きをするがゆえに数々の問題も発生してきている.テスト圧縮しかり,
低電力テストしかり.さながら問題が次の問題を生むが如きである(注:こ
の文は筆者の意見です,発表にあったかどうかは定かではありません).そ
ろそろスキャン設計と決別してもよいのでは.順序回路のATPGや高位レベル
のテストは有望ではないか.奮起を望む!

スキャン設計は,順序回路問題を組み合わせ回路問題に帰着させる強力さ故
に,広く用いられてきて,今日のテスト設計ツールの隆盛をみた.しかし,
Min教授の呼びかけるように,いま一度原点に立ち戻って考える時期に来て
いるのではないだろうか.

(九州工業大学 佐藤康夫)


---【最新技術動向】セミコンジャパン --------------------------------
http://www.semiconjapan.org/

2009年12月2日(水)から同4日(金)まで,幕張メッセにてセミコンジャパ
ンが開催された.来場者延べ数,出展社数,小間数は以下の通りであった.

来場者延べ数:約641,00(2008年97,000)
出展社数:924社(2008年1,477社)
小間数:2,204小間(2008年年4,450小間)

STSセッション9テストでは,“未来へつなぐテスト技術 - 低コストへの挑
戦”と題し6件の講演と熱心な討論がおこなわれた.参加者数は88名であっ
た.3日(木)午前中にはCAST(Collaborative Alliance for 
Semiconductor Test)ミーティングも開催された.

STS:
http://www.semiconjapan.org/sj-jp/Seminars/STS/index.htm?parent=yes&
parentId=82
CAST:http://www.semi.org/cast
(岩崎一彦)


---【最新技術動向】D2T ----------------------------------------
http://www.vdec.u-tokyo.ac.jp/d2t/D2Tsymposium2009.html

2009年12月11日(金)に東京大学武田先端知ビルにてD2Tシンポジウムが開
催された.カリフォルニア大学サンタバーバラ校Tim Cheng教授の招待講演
をはじめ,合計8件の講演がおこなわれた.参加者数は150名を越え熱心な討
論が続いた.懇親会では松野社長からの熱いメッセージも発せられた.

(岩崎一彦)


---【最新技術動向】DC研究会 ----------------------------------------
電子情報通信学会のディペンダブルコンピューティング研究会が,2009年12
月11日(金)に島根県松江市の松江テルサで開催され,約20名が参加した.

毎年12月の議題は「安全性および一般」となっており,今年は鉄道システム
の安全性に関する6件の発表の他,分散システムにおけるデータ複製配置,
オンチップクロック発生回路を用いたテストのテストフロー生成,セキュリ
ティ向上を目的としたスキャンチェーンの合成手法に関する発表があった.

安全性に関して,交通研の水間氏による"プローブ車両による予防安全技術
について"と題した発表があった.高額な試験車両による軌道試験は中小の
鉄道事業者には負担が大きいため,安価なプローブ装置(数十万円程度)を
開発し,このプローブ装置を通常の車両に取り付けて日常的に試験を行うと
いうものである.テストの分野におけるBISTやDFTテスタ,オンラインテス
トと通じるものがあり,興味深い発表であった.

次回のDC研究会は「VLSI設計とテストおよび一般」を議題として,2009年2
月15日(月)に機械振興会館で開催される予定である.

(新井雅之)


---【経済指標】-----------------------------------------------------
SEAJ BBレシオ 10月度:1.18
半導体製造装置協会から転載:http://www.seaj.or.jp/
月次経過:http://www.silicontest.jp/bbratio.htm


編集後記 -----------------------------------------------------------
今年も本メールマガジンを,多くの読者の方々にお読み頂き,大変嬉しく思
っております.
半導体テスト分野に多くの人が深く興味を抱いて頂ければ本望です.
来年も皆様に幸多い一年となりますよう,弊社一同願っております.
(市野憲一)


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