[2010-03-31] D&Tニュース 第35号


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月刊ディペンダビリティ&テスト(D&T)ニュース  2010年3月31日号
発信元 シリコン・テスト・テクノロジーズ株式会社
http://www.silicontest.jp/
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テスト技術略語・ミニ解説集 http://www.silicontest.jp/abbreviations
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--- 目次 -----------------------------------------------------------
●【ビジネスニュース】半導体テスト業界
●【最新技術動向】情報処理学会ネットライブ
●【図書紹介】ローパワーテスト
●【チュートリアル連載記事】ディペンダビリティ講座(第10回)福本聡
●【編集後記】


---【ビジネスニュース】半導体テスト業界-----------------------------
半導体産業新聞 第1880号 2009年3月10日発行

半導体テスト業界に関する特集記事が第一面に掲載された.“ボーダーレス
化が進展“という見出しであるが,国境を越えた競争を意味するのではなく,
ATEメーカ,テストハウス,プローブカードメーカ,ソケットメーカ等がそ
れぞれの分野にとらわれず互いの競争が激化している,ということを意味し
ている.

“混沌とする業界将来像”というサブタイトルが示すように,テスト業界は
デバイスメーカの考え・方向性に左右されやすく今後の業界構造は見通しに
いとしている.

テスター最新動向2010として下記の会社の動向が示されている.
テラダイン,アドバンテスト,ヴェリジー,シバソク

プローブカード最新動向2010として下記の会社の動向が示されている.
フォームファクター,日本マイクロニクス,日本電子材料,

テストハウス最新動向2010として下記の会社の動向が示されている.
KYEC,テラプローブ,吉川セミコンダクタ

ソケット各社動向2010として下記の会社の動向が示されている.
日本発条,ヨコオ,山一電機,理化電子,SER,エンプラス半導体機器,喜
多製作所

第一面下段の“記者の眼”では,テスト業界に対する理解と同情と応援が示
されいる.

詳しくは同新聞を参照されたい.ホームページは以下の通りである.
http://www.semicon-news.co.jp/


---【最新技術動向】情報処理学会ネットライブ ------------------------
http://www.ipsj.or.jp/10jigyo/taikai/72kai/index.html

2010年3月8日から12日まで,情報処理学会全国大会が東京大学本郷キャンパ
スにて開催された.本年は学会の創立50周年にあたり,7000名以上が参加し
た.

今回の大会では,新しい試みとして,下記のイベント,講演,セッションに
ついて会場である東大安田講堂からストリーミング中継が行われた.

・情報大航海プロジェクトシンポジウム
・招待講演(1)東京大学 濱田総長
・言語と知識 ―最新言語処理研究の射程― 
・低炭素社会の実現に向けた産官学によるグリーンITの取組
・招待講演(2)IBM名誉フェロー Fran Allen氏
・情報処理学会会長セッション 情報処理の「夢」

9日に行われた濱田総長の講演は,ネット上に多数の聴講者がいたとみられ,
筆者の環境ではしばしばストリーミングが中断していたが,それ以降の講演,
セッションは良好な環境で視聴することができた.

(新井雅之)


---【図書紹介】ローパワーテスト -----------------------------------
編者:P. Girard,N. Nicolici,and X. Wen
書名:Power-Aware Testing and Test Strategies for Low Power Devices
出版社:Springer

Chapter 1  Fundamentals of VLSI Testing (L. T. Wang and C. E. 
Stroud)
Chapter 2  Power Issues During Test (S. Kundu and A. Sanyal)
Chapter 3  Low-Power Test Pattern Generation (X. Wen and S. Wang)
Chapter 4  Power-Aware Design-for-Test (H. J. Wunderlich and C. G. 
Zoellin)
Chapter 5  Power-Aware Test Data Compression and BIST (S. K. Goel 
and K. Chakrabarty)
Chapter 6  Power-Aware System-Level Test Planning (E. Larsson and 
C. P. Ravikumar)
Chapter 7  Low-Power Design Techniques and Test Implications (K. 
Roy and S. Bhunia)
Chapter 8  Test Strategies for Multivoltage Designs (S. Khursheed 
and B. M. Al-Hashimi)
Chapter 9  Test Strategies for Gated Clock Designs (B. Keller and 
K. Chakravadhanula)
Chapter 10  Test of Power Management Structures (M. Kassab and M. 
Tehranipoor)
Chapter 11  EDA Solution for Power-Aware Design-for-Test (M. Hirech)

VLSIチップのテスト時に多大な電力が消費され歩留りロスが生じているとい
う指摘もなされている.テスト時の消費電力を削減すること,およびローパ
ワーデバイスをどのようにテストすべきかについて関心が高まっており,こ
の分野をサーベイするような資料が求められてきた.この意味で本書は好適
である.

第1章と第2章では,VLSIテストおよびテスト時における消費電力という面か
らこの分野の基礎を示している.

第3章から第6章では,テスト対象のデバイスに対して消費電力を下げながら
テストする手法,例えばテストパターン生成におけるドントケアの埋め方等,
が解説されている.

第7章から第10章では,ローパワーデバイスあるいはローパワー回路がテス
トに新たな制約を加えているとして新たな条件でのテスト手法,例えばクロ
ックドゲートに対するテスト,について技術を紹介している.

第11章は関連するEDAツールに関するものである.

当該分野の専門家が最近の技術を紹介しており,テスト技術者あるいはこの
分野に興味がある人達がピンポイントで参考にするという使い方になると思
われる.

アマゾンでの購入(1500円以上送料無料)は下記を参照されたい.
http://www.silicontest.jp/

(岩崎一彦)


---【チュートリアル連載記事】---------------------------------------
■ ディペンダビリティ講座(第 10 回) ■

前回は,符号の持つ誤り検出能力や誤り訂正能力を特徴づける“ハミング距
離”に注目しました.そして,その最小値である“最小距離”が,符号の能
力の限界を表す主要な尺度として用いられることを述べました.今回は,こ
のハミング距離の見積もりに関連して非常に重要な性質を持つ“線形符号”
について解説します.なお,前回のハミング距離の説明では,二つの符号は
“異なる二つの符号”の意味で考えましたが,今後は二つの符号は同じであ
っても良いものとします.その場合,二つの符号のハミング距離は明らかに
 0です.そこで今後は,0 を除くハミング距離の最小値を最小距離として再
定義することにします.

最小距離は,前回述べたように,故障モデルなどの種々の複雑な評価条件を
反映することなく計算されるため,符号の能力のすべてを表している訳では
ありません.しかし,そのぶん考え方が簡潔で,たいへん明快な一元的評価
尺度であるといえます.ところが,実はこの最小距離の算出だけでも,必ず
しも簡単というわけではありません.最小距離は各符号語のあいだのハミン
グ距離の最小値ですから,当然,それを特定するためには,その符号に属す
る任意の二つの符号語すべての組み合わせについて距離を計算する必要があ
ります.符号語の情報ビット長が k だとすると,符号語の数は 2^k 個です
から,同じ符号語どうしの計算を除いても2^k*(2^k -1)/2 回の計算になり
ます.つまり,情報ビット長が大きくなるほど急激に最小距離を評価するた
めの計算量が増えることになります.

これに対して,線形符号(linear code)と呼ばれる符号は,最小距離の計算
量が 2^k,すなわち符号語の個数のオーダで抑えられるというたいへん都合
の良い特徴を持っています.符号長 n の線形符号はつぎの二つの条件をも
つ符号として定義されます.

(1) n 個のビットすべてが 0 である符号語を含んでいる.
(2) 任意の二つの符号語の和が,この符号のまた別の符号語になっている.

二つの符号語の和とは,それぞれの符号語を構成する n 個のビット一つ一
つについて,対応するビットの排他的論理和(mod 2 の演算)をとって得ら
れる長さ n のビット系列を意味します.線形符号の最小距離の計算量が少
なくて済むのは,この条件 (2) を満たしているからです.

ハミング距離というのは,二つの符号語のそれぞれに対応する成分の 0 と 
1 のくい違いの数なので,それは二つの符号語の和に含まれる 1 の数に等
しくなります.したがって一般の符号では,最小距離を求めるには,二つの
符号語の和を計算して,その結果に含まれる 1 の数をカウントするという
操作をすべての組み合わせについて実行することになります.しかし,ここ
で重要なことは,最終的に必要なのはハミング距離の最小値(0 を除く)で
あり,二つの符号語に対する和そのものではないということです.線形符号
では,条件 (2) によって,どの二つの符号語の和でも必ず何れかの符号語
になっているわけですから,いちいちそれらの和を計算しなくても,対応す
るハミング距離は何れかの符号語の 1 の数と一致します.したがって,す
べての符号語の 1 の数を調べて 0 以外の最小値を見つければ,それが最小
距離ということになります.なお,符号語の 1 の数は“ハミング重み”ま
たは単に“重み”と呼ばれます.

典型的な線形符号の一つに偶数パリティがあります.例えば,四つの符号語

000, 011, 101, 110

からなる符号長 3 の偶数パリティ符号を考えましょう.四つの符号語から
二つを選ぶ組み合わせ 4*3/2 = 6 通りについて和をとれば

000 + 011 = 011, 000 + 101 = 101, 000 + 110 = 110,
011 + 101 = 110, 011 + 110 = 101, 101 + 110 = 011

ですから,何れも符号語になっています.本来は符号語の和を求めるまでも
なく,四つの符号語の重みから最小距離は 2 であることが解ります.また,
前回も示した符号長 5 の偶数パリティ符号

00000, 00011, 00101, 00110, 01001, 01010, 01100, 01111,
10001, 10010, 10100, 10111, 11000, 11011, 11101, 11110

では,符号語のあいだの(0 以外の)ハミング距離は 2 か 4 であり,最小
距離は 2 であることが 16 個の符号語の重みだけからただちに判断できま
す.なお,奇数パリティはすべてのビットが 0 の符号語を含まない(条件 
(1)を満たさない)ので線形符号ではありません.

線形符号は,その構成の代数的裏づけを群によって与えることができるため
群符号(group code)とも呼ばれます.

<以下,次回に続く>

(福本聡)


---【経済指標】-----------------------------------------------------
SEAJ BBレシオ 2月度:1.34
半導体製造装置協会から転載:http://www.seaj.or.jp/
月次経過:http://www.silicontest.jp/bbratio.htm


編集後記 -----------------------------------------------------------
いつの間にか花粉症になってしまった私ですが,今年は花粉が少なく大変助
かります.ところで,
半導体工場のクリーンルームもくしゃみ対策をしているのでしょうか?
(市野憲一)

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