[2010-08-31] D&Tニュース 第40号


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月刊ディペンダビリティ&テスト(D&T)ニュース  2010年8月31日号
発信元 シリコン・テスト・テクノロジーズ株式会社
http://www.silicontest.jp/
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テスト技術用語集 http://www.silicontest.jp/abbreviations

--- 目次 -----------------------------------------------------------
●【ビジネスニュース】見逃し不良率
●【最新技術動向】STARCフォーラム/シンポジウム
●【チュートリアル連載記事】ディペンダビリティ講座(第13回)福本 聡
●【編集後記】


---【ビジネスニュース】見逃し不良率 --------------------------------
半導体産業新聞 第11901号 2010年8月11日発行

日立製作所マイクロデバイス事業部企画部長の濱中直樹氏のインタビューが
掲載された.同氏は,事業の位置づけ,事業概要,10年後の事業目標,業績
等について説明をしている.

テスト技術に関連して下記のように語っている.

”自動診断技術「Harmonious BIST」を開発し,500万ゲート規模のLSIで見
逃し不良率を100ppm以下に低減した”

詳しくは同新聞を参照されたい.ホームページは以下の通りである.
http://www.semicon-news.co.jp/



---【最新技術動向】STARCフォーラム/シンポジウム2010 --------------

http://www.starc.jp/event/forsym/forsym2010/index-j.html

STARCフォーラム/シンポジウム2010が,2010年8月26日,新横浜国際ホテル
にて開催された.プログラムは以下の通りである.

・開会挨拶
・来賓挨拶
・基調講演
「大学人の一考察:アプリ指向研究におけるジレンマとその克服」
・STARC活動報告「STARC 2010」
・学生ポスター・ショートプレゼンテーション
・STARC技術開発成果報告
「もっと楽にチップ設計を
-世界をリードする次世代プロセスフレンドリー設計技術-」
・STARC技術開発成果報告
「見えてきたエネルギー10分の1への道
 -極低電力回路・システム開発の初年度成果と今後-」
・招待講演
「人体通信とその未来」
・招待講演
「エネルギーハーベスティング技術の最新動向」

参加募集人員は350名であり事前登録の段階で満席であった.しかし,当日
は空席も散見された.

その中で,学生によるポスター説明(各人1分)は元気があり,今後に希望
を持たせるものであった.

(某)


---【チュートリアル連載記事】---------------------------------------
■ ディペンダビリティ講座(第 13 回) ■

前回は線形符号の設計方法の概要について説明しました.今回は線形符号の
なかまで,理論的にも応用的にも極めて重要な性質を持つ,巡回符号につい
て述べます.

はじめに,(7, 4) ハミング符号と呼ばれる線形符号について考えます.こ
れは生成行列 M の成分を

1  0  0  0
0  1  0  0
0  0  1  0
0  0  0  1
1  0  1  1
1  1  0  1
1  1  1  0

とする,符号長 7,情報ビット数 4,検査ビット数 3 の符号です.生成行
列の 4 本の列ベクトルを基底ベクトルとする線形結合によって,この符号
の16 個の符号語は

v_ 0 =  0 0 0 0 0 0 0
v_ 1 =  0 0 0 1 1 1 0
v_ 2 =  0 0 1 0 1 0 1
v_ 3 =  0 0 1 1 0 1 1
v_ 4 =  0 1 0 0 0 1 1
v_ 5 =  0 1 0 1 1 0 1
v_ 6 =  0 1 1 0 1 1 0
v_ 7 =  0 1 1 1 0 0 0
v_ 8 =  1 0 0 0 1 1 1
v_ 9 =  1 0 0 1 0 0 1
v_10 =  1 0 1 0 0 1 0
v_11 =  1 0 1 1 1 0 0
v_12 =  1 1 0 0 1 0 0
v_13 =  1 1 0 1 0 1 0
v_14 =  1 1 1 0 0 0 1
v_15 =  1 1 1 1 1 1 1

のように得られます.そして,生成行列 M から一意に決まる検査行列 H と
これらの符号語の転置ベクトルとの積によって算出されるシンドロームから
誤り位置が特定できます.この場合,生成行列の成分は

1  0  1  1  1  0  0
1  1  0  1  0  1  0
1  1  1  0  0  0  1

となります.前回示した最小距離についての定理から,この符号の最小距離
は 3 であり,1 ビットの誤り訂正が可能なことが解ります.検査行列 H の
列ベクトルを左端から順に h_6, h_5, ・・・, h_1, h_0 とすれば,受信語
に 1 ビット誤りが発生しているとき,各誤りビット位置,すなわち左から
数えて第 6 ビット,第 5 ビット,・・・,第 1 ビット,第 0 ビットに対
して,それぞれ,

h_6 = 111,
h_5 = 011,
h_4 = 101,
h_3 = 110,
h_2 = 100,
h_1 = 010,
h_0 = 001

のシンドロームが復号化の際に現れ,誤り位置が特定されます.もし,受信
語に 2 ビット誤りが発生したならば,シンドロームは二つの誤り位置に対
応する H 行列の二つの列ベクトルの和(排他的論理和)となります.具体
的にいえば,

h_6 XOR h_5 = 100
h_6 XOR h_4 = 010
h_6 XOR h_3 = 001
h_6 XOR h_2 = 011
h_6 XOR h_1 = 101
h_6 XOR h_0 = 110
h_5 XOR h_4 = 110
h_5 XOR h_3 = 101
h_5 XOR h_2 = 111
h_5 XOR h_1 = 001
h_5 XOR h_0 = 010
h_4 XOR h_3 = 011
h_4 XOR h_2 = 001
h_4 XOR h_1 = 111
h_4 XOR h_0 = 100
h_3 XOR h_2 = 010
h_3 XOR h_1 = 100
h_3 XOR h_0 = 111
h_2 XOR h_1 = 110
h_2 XOR h_0 = 101
h_1 XOR h_0 = 011

です.明らかに 1 ビット誤りと同じシンドロームが現れています.しかも
複数回見られます.いうまでもなく,7 ビットのうちの誤り 2 ビットの位
置の組み合わせが 7*6/2 = 21 通りあるのに対して,シンドロームの 3 ビ
ットで表せるのは 2^3 = 8 通りしかないことがその理由です.しかし,
000 というシンドロームは現れていません.これらのことは,この符号では,
誤り訂正に限定すれば1 ビットだけ訂正が可能であり,訂正をあきらめて,
検出だけに特化すれば 2 ビット誤りまで対応できることを示しています.
最小距離 4のSEC-DED ハミング符号が,1 ビット誤り訂正と 2 ビット誤り
検出への対応を同時にできるのと比較して,符号の能力が若干低いことが解
ります.

さて,このような (7, 4) ハミング符号のシンドローム計算回路はどのよう
になるのでしょうか.検査行列 H の 7 本の列ベクトルの排他的論理和をと
ることになるので

http://www.silicontest.jp/mailmagazine/100831/syndrome.htm

のようになります.r_6, r_5, ・・・ r_1, r_0 は受信語の各ビットを,ま
た s_2, s_1, s_0はシンドロームの各ビットを表しています.(7, 4) ハミ
ング符号を一般化すると,検査ビット数 m に対して (2^m -1, 2^m -1-m) 
ハミング符号になります.m が大きくなると,誤り検出・訂正能力は同じで
すが,符号化効率が大きくなる利点があります.しかし,シンドローム計算
回路も大きくなります.特に配線が複雑になることが容易に推測できるでし
ょう.

おなじ線形符号でも,ある種の線形符号では,シンドローム計算回路をフリ
ップフロップによって簡単に構成できることが知られています.それが巡回
符号です.上記の (7, 4) ハミング符号に対して (7, 4) 巡回ハミング符号
の例を挙げましょう.(7, 4) 巡回ハミング符号の生成行列 M は

1  0  0  0
0  1  0  0
0  0  1  0
0  0  0  1
1  0  1  1
1  1  1  0
0  1  1  1

を成分とする行列で,上記の (7, 4) ハミング符号と同様に 16 個の符号語

v_ 0 =  0 0 0 0 0 0 0
v_ 1 =  0 0 0 1 1 0 1
v_ 2 =  0 0 1 0 1 1 1
v_ 3 =  0 0 1 1 0 1 0
v_ 4 =  0 1 0 0 0 1 1
v_ 5 =  0 1 0 1 1 1 0
v_ 6 =  0 1 1 0 1 0 0
v_ 7 =  0 1 1 1 0 0 1
v_ 8 =  1 0 0 0 1 1 0
v_ 9 =  1 0 0 1 0 1 1
v_10 =  1 0 1 0 0 0 1
v_11 =  1 0 1 1 1 0 0
v_12 =  1 1 0 0 1 0 1
v_13 =  1 1 0 1 0 0 0
v_14 =  1 1 1 0 0 1 0
v_15 =  1 1 1 1 1 1 1

を生成します.検査行列 H も同様なサイズの

1  0  1  1  1  0  0
1  1  1  0  0  1  0
0  1  1  1  0  0  1

を成分とする行列になります.符号の誤り検出・訂正能力も同等です.しか
し,巡回符号には大変面白い性質があります.それは,任意の符号語

c_{n-1}  c_{n-2} ・・・ c_2  c_1  c_0

に対して

c_{n-2}  c_{n-3}・・・  c_1  c_0  c_{n-1}

もまた符号語になっているというものです.つまり,符号語の各ビットを一
つずつ左に移動して,最上位ビットを最下位ビット位置に移動した語も符号
語になっているわけです.例えば,(7, 4) 巡回ハミング符号の上記符号語
では,v_3 の各値を 1 ビット左に移動して最上位ビットを最下位ビット位
置移動したビット系列が v_6 になっています.同様に16 個の各符号語につ
いて移動すると

v_ 0  ->  v_ 0
v_ 1  ->  v_ 3
v_ 2  ->  v_ 5
v_ 3  ->  v_ 6
v_ 4  ->  v_ 8
v_ 5  ->  v_11
v_ 6  ->  v_13
v_ 7  ->  v_14
v_ 8  ->  v_ 1
v_ 9  ->  v_ 2
v_10  ->  v_ 4
v_11  ->  v_ 7
v_12  ->  v_ 9
v_13  ->  v_10
v_14  ->  v_12
v_15  ->  v_15

という対応関係があります.

このような性質を持つ巡回符号では,シンドロームの計算を

http://www.silicontest.jp/mailmagazine/100831/LFSR.htm

のようなフリップフロップ(図のFF)を用いた回路で実行できます.これは
受信した語 r = [r_6, r_5, ・・・ r_1, r_0] を順番に入力していけば,3
ビットのフリップフロップにシンドロームの計算結果が残るというものです.
また,一般の m ビットの巡回ハミング符号でも,フリップフロップが m個
になり,配線が若干変わるだけで,非常に簡単なシンドローム計算回路とな
ります.

それでは,どのような特徴をもつ線形符号が巡回符号となるのでしょうか.
線形符号では,検査行列を構成する列ベクトルがどれも異なる非 0 ベクト
ルとなっていることは前回述べました.巡回符号では,さらにその検査行列
の列ベクトルのならびに特別な規則があるのです.

<以下,次回に続く>
(福本 聡)


---【経済指標】-----------------------------------------------------
SEAJ BBレシオ 7月度:1.53
半導体製造装置協会から転載:http://www.seaj.or.jp/
月次経過:http://www.silicontest.jp/bbratio.htm


編集後記 -----------------------------------------------------------
ひさしぶりに高尾山に登ってきました.山中は涼しくて快適でしたが,降り
てきたときの暑さと筋肉痛が応えました.また,祖父と良く行ったとろろ蕎
麦屋が無くなっていました.残念です.
(新井雅之)

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